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糖尿病合併症

糖尿病とは慢性的に⾼⾎糖となる疾患です。

様々な合併症により糖尿病患者の平均寿命は約10年短いと報告されています。したがって糖尿病治療の目標は、合併症を予防または進⾏阻⽌し健康な⼈と同様の⽣活の質を維持することになります。糖尿病には喉が渇く、尿がたくさん出る、体がだるいなどの症状がありますが、⾃覚症状がない場合も多くみられます。症状がなく受診が遅れると、病院で糖尿病と診断されたときには既に多くの合併症をもっていることも少なくありません。

合併症予防または進⾏阻⽌のためには厳格な⾎糖コントロールが重要です。では、どのような合併症があるのでしょうか。

1 . 糖尿病網膜症

目には物を⾒るために重要な網膜という部位があります。そこが⾼⾎糖により障害を受けたものを網膜症といいます。進⾏した網膜症では、硝⼦体出⾎や網膜剥離を起こして視⼒障害が起こり、やがて失明に⾄るため眼科でレーザー光凝固術という治療を⾏います。硝⼦体出⾎や網膜剥離には硝⼦体⼿術を⾏います。糖尿病がある⽅は眼科を定期的に受診することが⼤事です。

2 . 糖尿病性腎症

腎障害により蛋⽩尿やむくみ、⾎圧上昇などが起こります。腎不全になりだるさ、吐き気、⾷欲不振などが現れた状態が尿毒症です。末期の腎不全になると透析療法が必要になります。透析を導⼊する原因の第1位が糖尿病となっています。

3 . 糖尿病神経障害

両側の⾜先から始まるしびれや痛み、感覚の低下などを起こします。進⾏すると痛みを感じる神経の障害のため、通常強い胸痛がある⼼筋梗塞を発症した時でも症状がはっきりしないことがあります。また⾃律神経障害も起こし、⽴ちくらみや吐き気、下痢、便秘、排尿障害などを引き起こします。

4 . 動脈硬化性疾患

動脈硬化が起こす病気では⼼筋梗塞や狭⼼症、脳梗塞、脳出⾎などが有名です。末梢⾎管での動脈硬化では⼿⾜の冷えやしびれ、歩⾏時の⾜の痛みなどの症状が出ます。糖尿病の他に⾼⾎圧、脂質異常症、肥満、喫煙、加齢などが動脈硬化のリスクとなります。

5 . その他

⾜壊疽を起こすと⾜を切断しなければならないこともあります。感染症、認知症、⻭周病にもなりやすいことが分かっています。

以上が糖尿病の合併症ですが、恐いと思いませんでしたか。糖尿病の原因にはいくつかありますが、⾷べ過ぎや運動不⾜など⽣活習慣によるものが最も多くみられます。糖尿病にならないように、普段の⽣活を⾒直してみてください。

また健診で⾎糖値などが要精密検査の場合には必ず病院を受診しましょう。
現在糖尿病治療中の⽅も、合併症を理解して是非治療を続けてください。

内科医長 葉山敏光