高血圧について
中国中央病院からの健康アドバイス 第65回
血圧とは
血液が血管内を通過するとき、血管にかかる圧力のことを血圧といいます。心臓が収縮して血液を押し出した瞬間、血管に一番強く圧力がかかります。これが収縮期血圧(最高血圧)です。逆に拡張したときは一番低くなります。これが拡張期血圧であり、どちらが高くても高血圧といいます。一般的には収縮期血圧は130mmHg未満、拡張期血圧は85mmHg未満が理想とされています。では、どうして高血圧が起こってくるかというと様々な原因があります。はっきりと原因がわかる高血圧を二次性高血圧といいますが全体の1割も満たしていません。大部分は原因が特定できない高血圧で本態性高血圧と呼ばれています。高血圧には特定の自覚症状がありません。人によっては頭痛、肩こりなどの症状がある場合もありますが高血圧特有の症状ではないため症状だけで診断することは困難です。よって定期的に測定していないと発見は困難です。検診などで指摘されても症状がないため放置してしまう人も多いです。放置すると動脈硬化を進行させ、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中を起こす危険度が増します。これらが命にかかわる病気ということは知っていますね。高血圧は症状がないまま長年かかって密かに血管を蝕んでいく「サイレントキラー」とも呼ばれるおそろしい病気なんですよ。
②高血圧だと何が悪いのか?
血管を流れる血液の圧力が高くなると、常に血管に刺激がかかって、動脈が痛みやすくなります。また、血液を強い圧力で送り出しているのは心臓なので、より多くのエネルギーが必要となり心不全になりやすくなります。つまり高血圧は血管や心臓に障害をもたらします。また血液内の老廃物や有害なものを濾過して尿として排出させている腎臓も血管の塊のような臓器なので高血圧により障害を受けます。人工透析を受けている人の原因の第3位も高血圧による腎硬化症となっていて、この10年で、2~3倍に増加しています。
③血圧を防ぐには?
日常生活で気を付けるべきことは、食塩量を減らすことです。食塩をとり過ぎると血圧が上がることは、多くの研究や統計などから指摘されてきたことです。現在、日本人の成人に勧められている1日の塩分摂取の目標は、男性10g未満、女性8g未満です。高血圧の患者さんはもっと厳しくて1日6g未満となっています。薄味に慣れ、醤油などはかけるのではなく、つけて食べ、酸味や香辛料で味に変化をつけたり、香り、香ばしさなども利用するといいでしょう。その他としては、肥満を防ぎ、適正体重を維持することも重要です。また、ストレスを避け、急激な温度差にも要注意とされています。もちろん適度な運動も必要です。
④まとめ
高血圧は希ではない疾患であること。特徴的な症状が無いにもかかわらず、放置しておくと不可逆性の致命的な合併症を引き起こす恐い病気であることを理解し、定期的な測定、検診等で指摘された場合は近くの医師と相談し適切な治療を受けることをお勧めします。
内科医長 中野学