舌がんってどんな病気?
中国中央病院からの健康アドバイス 第62回
舌が痛くて舌がんが心配です。
舌の違和感は気になりますよね。舌は引っ張り出せば、可動部のほとんど(奥の一部を除く)が見えますが、よく見ると小さなぶつぶつがあったり、赤いところがあったりと少々グロテスクです。さて皆さん、「舌の調子が悪いな」と思っている人はいませんか。
ひょっとしたら舌がんかも?
それではチェックボックスを使って、気になっているあなた自身でチェックしてください。状況は次のように仮定しましょう。「少し前からあなたは舌の違和感に気がついていました。食事や会話中に舌が痛むのです。口内炎でもできたかなと思い、ある朝、洗面所の鏡の前で舌を引っ張り出してみると、そこには小指の先ほどのできものが…」
[チェックボックス]
□ヘビースモーカーですか
□強いお酒が好きですか
□むし歯や歯槽膿漏の治療を途中で止めていませんか
□合わない入れ歯を使っていませんか
□色は白いですか
□舌の横、あるいは裏にできていますか
□できものの周囲の縁取りは「ぎざぎざ」ですか
□中央が深くえぐれていたり、カリフラワーのように出っ張っていますか
□触ると少し硬いですか
□あなたは40歳以上ですか
□最初に気がついたのは、2週間以上前ですか
□何もしなくても痛みますか
※チェックが多いほど舌がんの可能性が高いです。
舌がんの早期発見
口腔がんは体全体のがんの約2~4%の割合です。舌がんは口腔がんの半分を占め、口の中で最も発生頻度の高いがんです。よく見えるところなのに、異常かどうかわからない。今回は舌がんの早期発見に絞って解説します。
- できる場所
舌がんの好発部位は舌縁(舌の横)から裏側にかけてです。舌の先端や中央にできることは非常にまれです。舌の先端は口内炎(アフタ)の好発部位ですが、舌がんはできにくい場所です。
- どんな環境の人
ヘビースモーカーや強いお酒を飲む人は、そうでない人より明らかに舌がんの発生率は高いです。合わない入れ歯や冠(かぶせや詰めもの)、むし歯の機械的刺激も良くないです。
- あい
周囲に比べて白いことが多いです(逆に赤すぎるのも、要注意です)。この白い部分はティッシュで拭いてもとれません。
- 手触り
周囲に硬い部分があります。これは「硬結」といって、舌がんの特徴です。
- 好発年齢
40歳以上のいわゆるがん年齢で、やや男性に多いようです。
- 見た目
口内炎は中央が平らですが、舌がんの中央は深くえぐれていたり(内向型)、カリフラワーの様に盛り上がったり(外向型)、デコボコ(表在びらん型)しています。また、周囲はきれいな円でなく、いびつな形をしています。
- 自覚症状
初期にはあまり痛みがないのですが、歯や入れ歯にあたり、強い痛みが出ることもあります。舌がんで味がわからなくなる(味覚障害)ことはまれです。
まとめ
舌は会話や食事など人の営みに必要な大切な臓器です。特に初期の舌がんを早期に見つけることが重要です。そうすれば手術や放射線治療、抗がん剤治療といった様々な治療法を組み合わせ、障害を最小限に抑えて完治させる可能性が高くなります。毎日の歯磨きの時、舌の点検も心がけましょう。そして、前述の項目に当てはまるものがあれば、口腔外科にご相談ください。
歯科口腔外科部長 宇根秀則