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身近な不整脈~心房細動~

中国中央病院からの健康アドバイス 第53回

不整脈とは?

みなさん誰でもドキッとしたり、脈がとんだと感じることがあると思います。いつもは規則正しく打っている脈ですが、ときに乱れることがあります。これが不整脈です。脈が整っていない状態ですね。規則正しい脈の間にリズムの異なる脈が割り込んだり、必要もなく脈が速く打ったり、必要なだけ打たず時に数秒間心臓が止まったりと様々な不整脈があります。心臓がドキドキしたり止まったように感じるため、このまま死んでしまうのではないかと心配される方もいますが、実際にはほとんどの不整脈は命に別状がありませんのでひとまず安心してください。不整脈に慣れてしまうと何も感じない“無症状”の方もいます。

心房細動とは?

不整脈の一つ、心房細動についてお話しします。心房細動は脈が完全に不規則になってしまう不整脈です(図1)。名前の由来を理解するために少し心臓の構造(図2)を勉強してみましょう。心臓は上の部屋(心房)と下の部屋(心室)、右の部屋と左の部屋で計4つの部屋に別れています。全身から戻ってきた血液は心房に入ります。心房が収縮し、続いて心室が収縮することで血液が全身に送られます。心室が収縮すると脈を触れます。心房細動の方は心房が震えた状態(心房が細かく動く)で十分収縮せず、心室は気まぐれに収縮します。こうして脈が完全に不規則になってしまうのです。脈が不規則になることで動悸を自覚する方もいますし、身体が慣れて”無症状”の方もいます。加齢とともに起こりやすくなります。高齢化社会の現在は全国で100万人以上の患者さんがいるといわれています。

図1

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図2

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さて、端から心房細動を病気扱いしてきました。動悸で困っている方は病気だと感じ治療も受けたいでしょうが、無症状なら治療しなくてよいのでしょうか…。いいえ、無症状でも治療が必要な場合があります。次は心房細動の治療についてです。

心房細動の治療は血圧をさげること、血をサラサラにすること

心房細動は動悸の原因になることもありますが、もっと厄介な問題を引き起こします。脳の一部が死んでしまう病気、脳梗塞です。心房が震えた状態が続くと心房の中で血液は澱み、血の塊ができてしまいます。血の塊が心臓の壁から剥がれると…、血流にのって脳に飛んでいき、細い血管を詰めてしまいます。これが脳梗塞です。

脳梗塞になると程度の差はありますが、不自由な身体になってしまいます。また、その身体で残りの人生を過ごさなければいけません。心房細動による症状があってもなくても、脳梗塞の予防が大切です。脳梗塞は血圧が高い人ほど起きやすく、また心房細動も血圧の高い人がなりやすいことが分かっています。血圧を下げることがとても重要なのです。塩分を控えることや自宅で血圧を測る習慣をつけましょう。また、血をサラサラにして、血の塊ができないようにする治療もとても有効です。抗凝固療法といいます。

動悸を感じる方や心房細動が心配な方はぜひ循環器内科を受診してみてください。

内科医長 竹内一文