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関節リウマチについて(平成23年1月号より) 

 A:関節リウマチとは

・関節に主病巣、主症状が現れる、原因不明の慢性炎症性の全身疾患です。膠原病、最近はリウマチ性疾患とも呼ばれる、自己免疫性疾患の一群のうち、最も代表的な疾患です。

・40-60歳代に発症のピークがあり、有病率0.5~1.0%、本邦では1,000対女性5.4、男性1.1で、70~80万人が罹患していると考えられています。

・炎症が起きる主要組織は関節の中でも滑膜という部分です。炎症性滑膜からの炎症物質によって骨、軟骨の破壊が生じ、関節破壊に至ります。また肺などの内臓にも障害を起こすことがあります。

 炎症とは?

炎症(えんしょう)とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時に、それによって生体が免疫応答を起こし、それによっておこる症候です。発赤、熱感、腫脹、疼痛を「炎症の4徴候」といいます。肺に炎症を起こす「肺炎」、肝臓に炎症を起こす「肝炎」などがあり、関節リウマチでは関節に炎症が起こってきます。

以前は慢性関節リウマチといわれていましたが、急性発症する例もあるため、2002年か5関節リウマチと呼ぶことに変更されました。関節リウマチは従来、身体障害に至るというイメージを持たれがちでしたが、近年の新薬の登場により、実態は変わりつつあります。

診断として、慢性の関節炎(関節のはれ、痛み)がみられた場合、関節リウマチの疑いがあります。以前は6週問以上、6か所以上、左右対称性の関節の腫脹が診断基準の一部となっていましたが、早期関節リウマチについては、以上の診断基準では診断が不可能なため、2009年にアメリカリウマチ学会および欧州リウマチ学会より共同で、関節の腫脹より早期から診断可能な新しい診断基準が提案され、徐々に用いられるようになってきています。また採血検査でも、以前より使用されていたリウマトイド因子よりも、疾患特異性の高いすぐれた検査である抗CCP抗体が診断に使われつつあります。

リウマチの治療として、以前よりメトトレキセート(商品名リウマトレックスなど®)やブシラミン(商品名リマチル®)など)、サラソスルファピリジン(商品名アザルフィジン®など)、などが使われており、特にメトトレキセートは効果に優れ、値段も安<、関節リウマチの鍵となる治療薬です。さらに、2003年のレミケード®を皮切り「エンブレル®、アクテムラ®などの生物学的製剤という新しいジャンルの薬が使用されるようになり、関節リウマチの完全寛解、ひいては治癒までも不可能ではない状況になってきています。しかしそれぞれの薬は、特徴、弱点、副作用もあり、熟達した専門医の処方が望まれてきています。

内科医長 三宅剛平