飲酒運転Q&A
Q:お酒を飲むと運転にどのような影響が出るのですか?
A:お酒は胃や腸で吸収され血液に溶けて脳に到達し、脳を麻痺させます。すると、下記のような影響が出てきます。警察庁の発表では、飲酒運転による交通事故の死亡率は飲酒なしの事故と比べて8倍以上も高くなっています。
Q:飲酒前にはタクシーで帰ろうと思うのですが、飲んでいるうちに「これくらいなら運転しても大丈夫だろう」と気が変わってしまうことがあります。なぜですか?
A:お酒を飲むと、理性や判断をつかさどる大脳新皮質の働きが抑えられ、食欲、性欲等の本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の働きが活発になります。そうなると、気分が高揚し、気持ちも大きくなり、「飲酒運転をしても大丈夫だろう」という気になってしまうことがあります。あなたが知性や教養を持っている人であっても、アルコールが入るとあなたの判断も信用できなくなります。
Q:ビールを1本飲んでも酔った感じがしないので運転しても良いでしょうか?
A:お酒を飲んでもすぐ酔うわけではありません。アルコールが脳に到達するまでに30分から1時間かかります。飲酒中に酔っている自覚はなくても、時間の経過とともに酔いの程度が進むので、運転してはいけません。また、ビール中瓶1本(日本酒1合、焼酎0.6合)で道路交通法の酒気帯び運転になりますし、違反基準未満の飲酒であっても、運転技能に影響が出てきます。ビール中瓶1本分のアルコールが体から抜けるには3~4時間かかるので、運転する場合にはしっかり時間をおきましょう。
Q:私は酒に強いので、飲んでも運転に影響はないと思いますが、どうでしょう?
A:「酒に強い」ことと「酒に酔わない」ことは違います。「酒に強い」というのは、アルコールを分解する酵素がよく働き、吐き気や頭痛、顔が赤くなる等の症状が出にくいということです。一方、「酒に酔う」というのは、血中のアルコールが脳に運ばれ、脳が麻痺することです。脳の麻痺は、酒に強い弱いによる違いはありません。酒に強いあなたの脳も麻痺しますので、運転への影響は必ず出ます。
Q:家族が酒好きで、飲酒運転を繰り返すので心配です。アルコール依存症なのでしょうか?
A:アルコール依存症かどうかは、これだけでは判断できませんが、飲酒運転を繰り返す背景にアルコール依存症が潜んでいる可能性はあります。アルコール依存症になると、自分の意志で飲酒行動をコントロールすることができなくなり、飲酒中心の生活となります。体や仕事、家庭生活に問題が表れているようなら、お住まいの保健所や精神保健福祉センター、アルコール依存症専門医療機関等への相談をお勧めします。ご本人の相談が難しければ、ご家族だけでも先に相談に行くと良いでしょう。
引用文献 警察庁<https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html> 2018年4月9日アクセス
公益社団法人アルコール健康医学協会<http://www.arukenkyo.or.jp> 2018年4月9日アクセス
主任心理療法士 加藤 一葉