乳がんチェック・マンモグラフィ Q&A
乳がんは女性にとって最も身近な病気になっており、現在、女性の11人に1人が乳がんに罹るといわれています。マンモグラフィ検診は乳がん死亡率を下げるエビデンス(科学的根拠)があることが証明された検査です。今回、マンモグラフィに関して、よくご質問いただくものをまとめてみました。
Q1.痩せていて乳房が薄く小さいですが、マンモグラフィの撮影は可能ですか?
可能です。乳房が小さいからといって撮影できないことはありません。乳がんと言えば女性の病気と思いがちですが、実は男性にも発生します。男性乳がんの罹患率は女性乳がんの1%程度と低いため、通常検診では撮影しませんが、症状がある場合は男性でもマンモグラフィを撮影します。
Q2.圧迫の際、痛みがあるのでマンモグラフィは苦手ですが、我慢した方がいいのですか?
圧迫により乳房厚が薄くなることで、乳腺の内部がよく見えるようになるとともに必要な放射線の量を減らせるので、数秒から10数秒ほど我慢していただければと思います。しかし、過剰な痛みはポジショニングがうまくいっていない可能性もありますので、我慢せず教えてください。どうしても痛みが強い方は超音波検査による検査もあります。
Q3.高濃度乳房(デンスブレスト)と言われましたが病気ですか?
マンモグラフィ検査における乳房のタイプは乳腺組織の量に応じて、『極めて高濃度』『不均一高濃度』『乳腺散在』『脂肪性』の4つに分類されます。そのうちの『極めて高濃度』と『不均一高濃度』の方は、高濃度乳房と総称され、これ自体は病気ではありませんが、他のタイプの方に比べて乳がんを見つけにくい傾向にあります。このような場合、追加のマンモグラフィや超音波などの検査を追加することで、がん発見率は向上します。ただし、高濃度乳房の方にマンモグラフィが必要ないと言うわけではなく、石灰化病変に関してはマンモグラフィが有効です。
Q4.マンモグラフィをうけていれば大丈夫ですか?
マンモグラフィで発見される乳がんの70%以上は早期がんであり、多くは症状のないものです。しかし、マンモグラフィだけですべての乳がんを発見することはできません。他の検査が必要となる場合もありますし、日ごろからのセルフチェックも大切です。
Q5.マンモグラフィと超音波、受けるならどちらが良いですか?
先述のとおり、マンモグラフィはごく早期の乳がんのサイン(石灰化)を見つけることができますが、高濃度乳腺の方ではしこりが見つかりにくいことがあります。
一方、超音波は乳腺の密度に影響を受けないので、高濃度乳房の方でもしこりの検出が可能です。また、しこりの内部まで見えるので、病変の性質もある程度わかる利点がありますが、石灰化の検出には優れていません。このようにどちらも利点と欠点があるので、一概にどちらがいいとは言えません。現在、乳がん検診ではマンモグラフィが基本ですが、年齢や乳腺の密度によって有効性が異なるため、可能なら超音波との併用をお勧めします。
主任診療放射線技師 堀江 満恵