COPDとは
COPDとは
COPDという言葉を聞いたことはありますか?呼吸器疾患の一つでChronic Obstructive Pulmonary Disease(慢性閉塞性肺疾患)の頭文字をとったものです。以前肺気腫と呼ばれていた疾患と慢性気管支炎と呼ばれていた疾患は、両者が種々の割合で合併することが多く、この二つによる閉塞性肺疾患を合わせてCOPDと呼ぶようになりました。
タバコの煙などの有害物質を長期に吸入することで肺に炎症が起き、肺の組織が破壊されます。肺は呼吸とともに膨らんだり縮んだりしますが、この機能が低下し十分に息が吐けなくなります。このことで、生活の質が低下したり合併症により死にもつながる病気です。2012年の厚労省の調査では死因の第9位となっています。
○どんな症状がありますか?
初期の症状としては、咳痰があります。また、坂道や階段の昇降が以前と比べてしんどくなったり動作時の呼吸困難が出現してきます。これらの症状は徐々に起こってくるため、加齢の影響と思いがちで見過ごされることも多い病気です。
進行してくると体重減少がみられ、合併症として心不全、うつ状態、筋力低下、肺癌などが認められることもあります。
診断と治療にはどのようなものがありますか?
診断には、肺機能検査を行います。思いっきり息を吐いたとき最初の1秒間に吐ける息の量が低下しているかどうかをみます。息が吐けなくなる他の疾患を除外することで診断されます。
治療としてはまずは禁煙をお勧めします。禁煙によって進行を遅らせることができ、寿命が延びることがわかっています。症状に応じて気管支拡張薬(抗コリン薬やβ2刺激薬)、去痰剤を使用します。呼吸リハビリテーションにより複式呼吸、口すぼめ呼吸の練習や筋力トレーニングで少しでも呼吸が楽になるようにします。病状が進行し体の中の酸素濃度が低下している場合には在宅酸素療法を導入します。
○気を付けるべきことはなんですか?
COPDは徐々に進行する病気ですが、時に急性増悪を起こすことがあります。急性増悪とはCOPDの症状が急激に悪化した状態で、放っておくと命に関わる可能性もあります。原因としては呼吸器感染症が多く、このためインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が進められます。
最後に
2001年の調査ではCOPDの推定患者数は530万人と言われていますが、実際に医療機関で診断され治療されている患者数は約20万人と大きな開きがあります。これは、前述のとおり、ありふれた症状であるため見過ごされやすいことと認知度が低いことがあげられます。少しでも気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診し肺機能検査を受けていただければと思います。
内科医長 尾形 佳子