間違っていませんか?あなたの歯磨き
歯磨きは毎日されていますか?1日何回されていますか? 1日2回歯磨きをしているとしたら、1年で730回歯磨きをしている事になります。これを自分の年齢に換算するととんでもない回数になり、時間を費やしていますね。ご自身の歯磨きの方法が間違えていれば時間が無駄になり、虫歯と歯周病のリスクは上がるばかりなのです。
今回は歯磨きがなぜ大切なのか、そのためにどうすれば良いのかをお伝えさせていただきます。
口は体の中で最も細菌が多く存在する部位
皮膚の表面、口の中やお腹の中にも常にたくさんの細菌が存在しています。その中でも大腸の細菌数は最も多く、1g中に100億から1000億個の腸内細菌が存在しています。そして、なんと口の中の歯垢という細菌の塊も、同じ細菌数なのです。細菌は歯に付着しても、多くの場合は唾液で流されてしまいます。しかし、唾液の流れが悪い場所に付着するとその場で増殖を始め、徐々に歯垢を形成する為、早目に取り除く事が重要です。
歯周病とは
歯周病とは、歯のまわりにある組織が細菌によって起こる感染症です。歯周病は生活習慣病であり、食生活、歯磨き習慣、喫煙等とも関係があり、現在、虫歯よりも歯周病で歯を失ってしまう方が多く、歯周病は気がつかないうちに進行してしまう為、沈黙の病気とも言われています。また、歯周病は口の中だけの病気だけでなく、全身疾患とも深く関係があり、影響があると言われています。
正しい歯磨き(セルフケア)方法
<歯ブラシについて>
歯ブラシの選び方は大きく3つあります。大きさ・毛質・毛の硬さです。
(大きさ)…奥歯まで届きやすく、細かく磨く事ができる親指の幅ほどの小さめの歯ブラシをお勧めします。
(毛質)…ナイロン製がお勧めです。ナイロンは乾きが早く、水洗いした後はブラシを立てておくとしっかり乾燥し、細菌の繁殖を防ぐ為衛生的です。また、動物製のブラシは吸水性が高いので、乾燥に時間がかかり、菌が繁殖しやすくなります。
(毛の硬さ)…硬すぎると歯や歯肉を傷つけ、軟らかすぎると歯垢をしっかりと落とす事ができません。歯肉や歯に腫れや痛みがない限りは、普通のものがお勧めです。
<磨くポイント>
歯と歯肉の境目と歯と歯の間です。特に歯垢が付着しやすく、歯周病予防の為には重要なところになります。歯垢が残らないように、歯磨きの際に気をつける歯を把握しておくことも大切です。
<歯磨き方法>
歯ブラシの持ち方…ペングリップと言って、ペンを持つようにすると、余計な力が入らず、小回りが利き毛の先が動く為、歯にきちんとあてて磨く事ができます。
磨き方…1箇所を20回以上、歯並びに合わせて磨きます。次の3つのポイントに注意する事が大切です。1つ目は、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目、歯と歯の間にきちんとあてる事です。歯ブラシは斜め45度にあてる事により、歯と歯肉の境目、歯と歯の間に毛先が入り、歯周病や虫歯のリスクの部分の歯垢が落としやすくなります。2つ目は、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で動かす事です。力一杯磨く方も多いですが、力を入れて磨くと、毛先が必要以上に曲がってしまい、歯垢は落ちるどころか歯の表面や歯肉も傷つけてしまいます。3つ目は、歯1本分くらいの幅に小刻みに振動をかけるよう、1、2本ずつ磨く事です。そして、歯ブラシだけでは頑張って磨いても、歯と歯の間に隠れた歯垢までは除去できません。1日1回は、歯間ブラシやデンタルフロスを使用する事が必要です。
まとめ
普段何気なくしている歯磨き。それが体の健康を維持させる為に、とても大きな意味をもっているのです。1日3回毎食後丁寧に行うことが1番望ましい事ですが、そのうちの1回だけでも良いので、しっかりと時間をかけて丁寧に取り除く事が大切です。しかし丁寧に磨いたとしても、歯周ポケットに入り込んだ歯垢は、歯ブラシで除去する事はできません。数ヶ月から半年に1回は歯科医院を受診し、定期健診とクリーニングを受ける事をお勧めします。
歯科衛生士 下江 麻衣