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気管支喘息

気管支喘息による患者数は、小児・成人共に、年々増加傾向を認め、成人喘息は過去30年間に約3倍に増加し、人口の約3%が罹患していると考えられています。厚生労働省研究班の調査では、成人喘息は40歳代以上の中高年に多く、社会的にも家庭的にも中心となる世代に多い病気です。また、その6~8割が20歳以降の成人発症であり、さらに中高年発症が約 半数を占めていることが明らかになりました。しかも小児喘息の既往がある人が20~40%であり、すなわち成人喘息の大半は、決してただ単に小児喘息の持ち上がりではなく、大人になってから初めて喘息になった人なのです。

発症数の増加の原因として、室内のチリダニの増加が重要視されています。現在の住居は密閉性が高く、エアコンが完備され、チリダニの増加する原因となり、カーペットの多用、大掃除がないことも、増加原因となっております。他、大気汚染の悪化(NO2、オキシダント、粒子物質)、ストレス増加、食生活の変化(動物性脂肪、たんぱく質の増化)、喫煙、鼻炎患者の増加も喘息患者の発症に寄与しており、増加の原因となっております。

喘息の代表的な症状は、咳、呼吸時の喘鳴(ぜんめい)、痰、息切れ、息苦しさ(呼吸困難)などです。喘鳴というのは、呼吸のたびに気道がヒューヒュー、ゼーゼーと鳴る症状です。喘息の特徴的な症状のひとつですが、実際には喘鳴がなく、咳だけが続くタイプもあるため、風邪や気管支炎などと間違えやすいため、長引く咳嗽を認める場合は、早めの呼吸器内科の受診をお勧めします。

検査としては、呼気中の一酸化窒素の測定、肺機能検査、採血検査などで行います。

治療として、継続的な吸入薬(ステロイド、気管支拡張薬)を行います。それでも改善が乏しい患者様には、分子標的治療注射、減感作療法(アレルギーの原因となる物質を少量ずつ長期に内服し体に慣らせる)、当院においては気管支サーモプラスティーを行っております。気管支サーモプラスティーは、麻酔下で内視鏡を使って行う、体への負担の少ない治療法です。気管支の中に入れた内視鏡の先端から電極付カテーテルを出し、気管支の内側を65度に温めます。気管支を温めると、喘息により厚くなった気管支壁内の筋肉が薄くなり、気管支が狭くなりにくくなります。そのため、喘息症状が、抑制されます。治療実績は、世界で4,000例以上、喘息発作や救急外来受診の回数が減少し、少なくとも5年間、治療効果が持続することが確認されています。気管支喘息は、症状、検査結果によって、治療が異なるため患者様と相談しながら治療を継続する必要があります。

<気管支サーモプラスティのイメージ図>

 

内科医長 池田 元洋