令和5年度 中国中央病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 229 30 112 193 254 379 746 1241 948 254
【定義】
・一般病棟の年齢階級別(10歳刻み)の患者数を示します。
・年齢階級は90歳以上を1つの階級として設定しています。

【評価】
当院は、福山・府中二次医療圏地域の中核病院として、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。
60歳代の患者さんが占める割合は約2割、70歳代の患者さんは約3割で、悪性疾患、呼吸器疾患などの入院患者さんが多い傾向にあります。
0歳代の患者さんには、帝王切開で出生した新生児が含まれています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 120 11.52 18.65 5.83% 70.78
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:2あり-処置2:なし-副病:なし-0 114 2.67 2.98 1.75% 72.63
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-0 94 14.50 8.33 0.00% 74.64
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置1:0-処置2:5あり-副病:0-0 76 19.38 19.61 1.32% 71.88
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置1:0-処置2:9あり-副病:0-0 68 19.60 12.88 2.94% 71.04
【評価】
内科では、肺がん・血液がんの患者さんが上位を占めており、当院が呼吸器疾患と血液疾患に力を入れていることが分かります。

肺がん治療においては、気管支鏡検査等による確定診断時の検体を用いて遺伝子の異常などを一括して検査し、患者さんごとに最も効果が期待できる薬剤を選択しています。毎年数種類の新薬が認可されており、新たな分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬も積極的に使用しています。

血液内科では、すべての血液疾患に対して最新の診断と治療を行っています。最近では、遺伝子異常に基づいた診断と治療選択も可能になり、従来の移植治療も含めて患者さんの早期回復と予後の改善を目指しています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 147 6.87 6.07 0.00% 0.00
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 20 7.80 11.01 5.00% 0.00
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 11 5.27 5.62 0.00% 2.27
030270xxxxxxxx 上気道炎-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 10 4.00 4.72 0.00% 1.00
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 5.96 - -
【評価】
小児科では、予防医学を含む幅広い一般診療を行い、的確な診断と分かりやすい説明に基づいて、患児とそのご家族に優しい医療に努めています。専門外来として、小児内分泌、肥満、小児アレルギー、小児循環器の各外来を設けており、慢性疾患の長期管理にも力を入れています。重症例は大学病院等の高次医療機関と連携を図っています。
福山市周辺の井原、府中市からの患者さんの来院も多く、福山市北部地域の基幹病院として、子どもたちのために頑張りたいと思っています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 50 4.40 4.55 0.00% 72.22
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 48 12.67 9.89 0.00% 72.83
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 22 13.59 9.88 4.55% 75.36
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-処置2:0-副病:なし-0 13 12.85 15.12 0.00% 64.77
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 12 8.58 5.64 8.33% 70.17
【評価】
外科で最も多い症例は、肺がんになります。呼吸器内科、放射線科、リハビリテーション科との連携を保ちながら、術前から術後まで包括的な診療を行うように心がけています。

肺がん手術では、平成23年度から、より低侵襲な術式である完全胸腔鏡下手術を導入しています。

鼠経ヘルニア手術は、術後早期の疼痛からの回復、社会復帰の時期に関して、腹腔鏡下手術の方が有意に優れていたとの報告があります。また術後6ヶ月以上持続する慢性疼痛の頻度も、腹腔鏡手術で減少するとの報告があります。これらのメリットがあるため、当院では前立腺癌の手術など腹膜前腔に手術操作が及ぶ手術既往の無い方で、全身麻酔が可能と判断されれば、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を第一選択としています。
鼠径ヘルニアは、高齢の方や様々な並存疾患をかかえておられる方も多いため、心機能、呼吸機能など術前検査をしっかり行い、また患者さんの普段の活動性なども合わせて全身麻酔が可能かどうか判断しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 49 21.80 25.5 83.67% 82.33
160760xx97xx0x 前腕の骨折-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:なし-0 25 6.28 4.76 0.00% 72.04
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 24 25.38 19.55 0.00% 67.33
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 21 25.86 21.96 0.00% 74.76
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 19 11.47 19.34 57.89% 74.00
【評価】
大腿骨近位部骨折は、地域連携パスを用いて早期のリハビリ専門病院への転院が実現できています。
人工膝・人工股関節置換術は自宅退院を目標にしているため、やや在院日数が長くなっています。現在クリニカルパスの見直しを行っています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常-子宮全摘術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 64 8.53 9.34 0.00% 33.25
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 23 5.04 6.00 0.00% 48.61
120140xxxxxxxx 流産-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 18 1.22 2.43 0.00% 35.17
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍-手術なし-処置1:0-処置2:4あり-副病:なし-0 17 4.29 4.18 0.00% 67.65
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮頸部(腟部)切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 16 2.00 2.96 0.00% 35.13
【評価】
令和5年度の分娩件数は490件でした。産婦人科では、産婦人科一般、婦人科腫瘍、産婦人科手術全般、合併症妊娠(糖尿病、膠原病、血液疾患等)、緊急時の帝王切開など幅広く対応しています。
産科では、アドバンス助産師(日本助産評価機構認証)を中心に、妊娠中から産後まで母児にとってよりよい環境を整えるよう共に考え、寄り添うケアを行っています。2014年1月より、助産外来を開設し、「生み育てる力を育む」助産外来を目指しています。助産師による産後2週間検診も開始しています。
また、内科疾患合併の方(糖尿病、膠原病、血液疾患など)も多く受け入れています。婦人科での悪性腫瘍は、手術や化学療法などの治療だけではなく、副作用、経済的なこと、家庭のこと、精神的な辛さなど様々な心配事に対して、ソーシャルワーカーや緩和ケアチームなど多職種で連携してサポートしています。

当院は福山市北部にありますが、当院より北部の市内、隣接する府中市、岡山県井原市にもお産を取り扱う産婦人科はなく、広範囲から妊婦さんや患者さんが来られます。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 29 6.79 4.73 0.00% 65.83
030428xxxxxxxx 突発性難聴-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 8.55 - -
030240xx01xx0x 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎-扁桃周囲膿瘍切開術等-処置1:0-処置2:0-副病:なし-0 - - 7.52 - -
030390xx99xxxx 顔面神経障害-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 8.71 - -
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 - - 5.51 - -
【評価】
診療範囲は、耳鼻咽喉科一般的なもので、耳垢栓塞に対する耳垢除去から中耳炎に対する内服治療、耳管通気、保存的な治療が見られない場合は、鼓膜切開や鼓室内換気チューブ挿入術なども行っております。顔面神経麻痺、突発性難聴、めまい症、扁桃炎や扁桃周囲膿瘍などの通院治療が困難な患者さんの入院治療にも対応しています。
高齢化に伴い、内科的な疾患に嚥下機能の低下を合併した患者さんもおられます。当科では電子内視鏡を用いてテレビモニターに映した状態で、嚥下の状態を確認する内視鏡下嚥下機能検査を行い、口腔外科や脳神経外科、リハビリテーション科と連携して、嚥下機能の評価とその訓練や治療にあたっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 23 - - 19 - - 1 8
大腸癌 14 - - - - - 1 8
乳癌 15 18 - - - 16 1 8
肺癌 47 17 81 97 92 362 1 8
肝癌 - - - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
・我が国での罹患の多い5大がん(胃・大腸・肺・乳・肝)について集計しています。
・患者数は延患者数としています。
・Stage 0のものは集計対象外としています。
・UICC第8版の定める病期分類に基づき、治療前の病期(ステージ※)別に分類しています
※がんの拡がりを0期~Ⅳ期(部位により異なる)のローマ数字で表し、数字が大きくなるほど、がんがより進行していることを示します。
胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんの一部のStageは、症例数10未満のため表示していません。

【評価】
胃がん、大腸がんの早期がんに対して内視鏡的治療を行い、肺がんに関しては、StageⅠ~Ⅳまで幅広い治療を積極的に行っています。
肺がんのStageが「不明」となっている患者さんは、短期の検査入院であり、退院時までに検査結果が判明せずStage分類ができなかった件数が反映されています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 17 10.47 56.65
中等症 80 14.41 79.04
重症 20 16.45 82.65
超重症 - - -
不明 - - -
【定義】
・入院契機傷病名および最も医療資源を投入した傷病名に対するICD10コードがJ13~J18$で始まるものに限定しています。
・重症度分類は、A-DROPスコア(※)を用いており、18歳以上を対象としています。
※A-DROPとは、市中肺炎の重症度分類のことであり、2007年に日本呼吸器学会が刊行した『成人市中肺炎診療ガイドライン』に掲載されています。重症度を分類した後、それぞれの重症度に応じた治療を選択します。数字が大きくなるほど、重症になります。

【評価】
重症度別にみると、軽症の患者さんは年齢が低く、中等症・重症の患者さんは年齢が高い傾向にありました。
超重症、重症度不明の患者数は、症例数10未満のため表示していません。
当院は、肺炎以外にも肺がん、中皮腫等胸部悪性腫瘍、肺結核の呼吸器疾患の診断・治療にも力を入れています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- - - - -
【定義】
最も医療資源を投入した傷病の ICD10がI63$(※)である症例を集計しています。
※ICD-10とは、「国際疾病分類・第10回修正版」のことを意味します。死因や疾病の国際的な統計基準として、世界保健機関 (WHO) によって公表されている分類です。死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などに活用されています。

【評価】
脳梗塞の患者数は、10症例未満のため表示していません。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 59 5.88 4.36 3.39% 71.86
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 26 4.89 8.69 3.85% 72.15
K654 内視鏡的消化管止血術 21 2.10 7.10 28.57% 78.67
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 16 1.56 3.50 0.00% 67.94
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 15 0.13 6.93 0.00% 75.07
【定義】
・同一手術において複数の手術手技を行った場合、主たるもの(点数の最も高い手術)のみ集計します。
・輸血関連は、除外しています。創傷処理、皮膚切開術、非観血的整復術、徒手整復術、軽微な手術は除外しています。

【評価】
消化器内科では、消化管や肝胆膵領域など、多くの消化器疾患に対する治療を行います。
内視鏡やCT、MRIなどの各種検査に加えて、ポリープや早期がんの内視鏡による切除や進行がんに対する化学療法(抗がん剤治療)、肝炎に対する抗ウイルス薬治療や肝臓がんに対するラジオ派焼灼術、また総胆管結石や閉塞性黄疸に対する内視鏡処置や穿刺胆道ドレナージ、腸閉塞に対する内科的治療など、様々な消化器疾患に対する治療を行っています。
また、患者さんの状態や病気の状況に応じて、外科や放射線科、地域の様々な医療機関などとも連携し、個々の患者さんにとって最善の治療を共に考えながら診療を行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 33 1.09 2.24 0.00% 68.91
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 22 1.23 5.55 0.00% 57.91
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 21 1.33 22.48 0.00% 72.38
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 20 1.55 12.55 0.00% 74.00
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 17 1.18 11.18 0.00% 75.71
【評価】
従来の開胸手術では、胸を横切るように約20cm~30cm切って、呼吸に必要な筋肉を切離し、肋骨を1本~2本切断して手術を行っていましたが、胸腔鏡というカメラを胸腔内に挿入し、その画像をモニターで見ながら手術を行う胸腔鏡下手術が施行可能になってきました。当院での肺がんの手術は、完全胸腔鏡下手術を基本術式としております。完全胸腔鏡下手術での切開は、最大3cm程度であり、呼吸筋の切離も最小限ですむため、術後の疼痛や機能回復もさらに良好になると思われます。

乳がんの手術では、患者さんに乳房の温存希望がある場合でも、家族内に乳がんの方が多い場合などは、あえて乳房切除を勧める場合もあります。現在、シリコンインプラントを用いた乳房再建手術も保険適応となっております。残念ながら、当院では乳房再建手術は行っておりませんが、患者さんが同時乳房再建を希望される場合は、手術可能な施設へご紹介する選択肢も提示し、なるべく患者さんの希望に沿った治療が受けられるようにしております。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(股) etc. 47 1.13 23.51 0.00% 70.85
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 43 2.16 17.28 69.77% 79.93
K0462 骨折観血的手術(前腕) etc. 37 1.32 8.38 16.22% 71.49
K0463 骨折観血的手術(鎖骨) etc. 26 1.85 6.39 11.54% 53.50
K0811 人工骨頭挿入術(股) 13 3.46 16.23 92.31% 83.77
【評価】
整形外科の手術は、年間400件前後で推移しています。令和5年度は388件でした。
高齢者の骨折、特に大腿骨近位部骨折は緊急手術を要するもので、他科と連携し受傷早期(当日~2日)には手術が出来るように努めています。人工関節置換術は自宅退院を目標にしているため在院日数が長くなる傾向があります。
今後はクリニカルパスの見直し、充実を図り、また地域連携室を通じての病病/病診連携をより積極的に行いたいと思います。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 63 0.98 6.57 0.00% 33.76
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 33 0.33 6.82 3.03% 31.85
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 30 1.17 3.07 0.00% 47.93
K861 子宮内膜掻爬術 25 0.16 0.32 0.00% 49.80
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 23 1.00 5.17 0.00% 49.26
【評価】
当院は、総合病院のため合併症を持つ妊婦さんも受診しており、帝王切開時は小児科医が全例立ち会う体制を整えています。婦人科良性腫瘍(卵巣腫瘍、子宮筋腫や子宮腺筋症での子宮摘出など)は基本的に腹腔鏡による手術を行っています。内分泌疾患に対しては、一人一人の状況に合わせて低容量ピル、黄体ホルモン放出子宮内リング、子宮内膜焼灼術などを行っています。子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術も行っています。
現在、少子化が社会問題となる一方で、不妊治療・出産の高齢化・合併症妊娠等ハイリスク症例が増加しています。周産期救急に的確に対処できる知識や能力を発展・維持できるよう、産後出血・新生児蘇生法・超緊急帝王切開などの救急勉強会を定期的に行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 27 0.62%
異なる 11 0.25%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 12 0.27%
異なる - -
【定義】
「播種性血管内凝固」、「敗血症」、「真菌症」、「手術・処置などの合併症」で入院された患者数と、当院における令和5年度全入院に対する該当DPCコードの割合を算出しています。
入院契機とは、入院のきっかけとなった傷病名を指しています。DPCコードを決定する傷病名は、入院中に最も医療資源を投入した病名(DPC病名)であり、入院契機病名とは区別されています。
表中の「同一」とは、入院契機病名とDPC病名が同じもののことを指し、「異なる」とは入院契機病名とDPC病名が異なるものを指します。
患者数が10人未満の場合は、「-(ハイフン)」で表記しています。

播種性血管内凝固症候群は、何らかの原因により血液が固まる力が強くなり、血小板や凝固因子を消費するため、出血しやすくなる全身性の重篤な病態です。
敗血症は、感染を起こしている場所から血液に病原菌が入り込み重篤な全身症状を引き起こす病態です。
真菌症は、真菌(所謂カビ)による感染症です。
手術・処置等の合併症は、手術や処置部分に対し起こる症状です。医療ミスとは異なり、一定の割合で起こりうる状態であり、術前の説明でもお伝えしている病態です。

【評価】
播種性血管内凝固、敗血症は重篤な疾患であり、DPCで高額な点数が設定されています。そのため、医学的根拠に則った適切な病名選択が求められています。敗血症に関しては、重症の感染症の患者さんを多く受け入れてる結果であると考えられます。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
523 509 97.32%
【定義】
リスクレベルが「中」以上の手術は、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン2017年改訂版」(日本循環器学会等)に準じて抽出しています。
予防対策については、肺血栓塞栓症予防管理料を算定した、または抗凝固療法がおこなわれた患者を抽出しています。

【評価】
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが高い手術を実施した患者は、血栓ができやすく肺血栓塞栓症を発症する危険性がより高くなります。
当院では、肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した入院患者さんに対し、高い割合で予防対策を実施しています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1,663 1,502 90.32%
【定義】
実施された血液培養検査のうち、1日に2セット(異なる部位から2回採血)以上実施された件数

【評価】
抗菌薬を使用する際、偽陽性による過剰治療を防ぐため、血液培養検査を2セット以上行うことが推奨されています。
当院では90%以上の患者さんに対して2セットを実施しており、適切な治療の確保と医療の質向上に取り組んでいます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
750 630 84.00%
【定義】
広域スペクトル抗菌薬が処方された退院患者数のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数

【評価】
広域スペクトラム抗菌薬は幅広い種類の細菌に効く半面、薬剤耐性菌も広範囲に生じるリスクがあります。
抗菌薬の処方日までに細菌培養同定検査を行うことで、抗菌薬の適正使用に取り組んでいます。
更新履歴
2024年09月25日
病院指標を公開しました