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外来化学療法室

外来化学療法室の概要

外来化学療法室は、化学療法(抗がん剤や生物学的製剤)を外来で受ける患者さんにとって、「快適に、安全に、安心して治療を受けられる空間」として平成18年に開設しました。

新しい治療薬の開発、支持療法(吐き気止めなど)の進歩・普及、内服抗がん剤の増加などにより、治療の場画、入院から外来に移行してきています。しかし、「抗がん剤治療をしながら家でどうすごしたらいいの?」、「副作用がでたときはどうしたらいいの?」など不安はたくさんあることと思います。治療を受けられる患者さんやご家族が日々の生活を大切にしながら、より快適に安全に治療を受けることができるよう、医師・看護師・薬剤師をはじめとするすべてのスタッフが医療チームを組み、患者さんとそのご家族の療養生活をサポートいたします。

スタッフのご紹介/設備・体制

スタッフご紹介

外来化学療法室は、外来化学療法委員会が中心となって運営しています。外来看護師3~4名、外来担当薬剤師1名が勤務しており、色々な診療科からの治療依頼を受け、がん化学療法を行っています。

設備のご紹介

平電動ベッド8台、リクライニングチェア2台、計10床の治療室で、完全予約制です。ベッドにはポータブルテレビを設置しており、テレビをご覧いただきながら点滴治療を受けることができます。

見取り図

見取り図

安全管理

化学療法の実施においては何よりも安全管理が重要です。外来化学療法の治療スケジュール(レジメン)は全て登録制となっており、レジメンを審査する委員会で承認を得て 使用しています。登録されたレジメンは電子カルテシステムからオーダーされ、抗がん剤の投与スケジュールの過誤や過量投与を防止しています。実際に患者さんに投与する前にも薬剤師が処方内容を二重でチェックすることで入念な確認を行っています。治療中の患者さんの状態については看護師が常に観察しています。

治療当日の流れ

(1)受付~採血~診察まで

  • 化学療法室の予約時間の1時間前までにお越しください。
  • 自動再診受付機で受付をしてください。(受付票を取り、血圧測定・体重測定をしてください)
  • 化学療法室で体調や副作用についてお伺いし、採血を行います。
    (結果がでるまで1時間程度かかります)
  • 採血の結果がでましたら、外来担当医の診察がありますので、各科受付の待合いでお待ちください。
  • 診察の結果、体調に問題がなければ化学療法を行いますので、化学療法室にお越しください。

(2)化学療法室に入室してから点滴開始まで

  • ノックをして化学療法室の椅子に座ってお待ちください。看護師がお声掛けをします。
  • ベッドにご案内します。
  • 点滴の薬剤は治療実施が決まってから薬剤部で作成します。化学療法室に届くまで、お待たせすることもございますがご了承ください。
  • 点滴が始りましたら楽な姿勢でおすごしください。

何か気になることがあった場合は遠慮なくお知らせください。

(3)点滴終了から次回の外来日まで

  • 抗がん剤の点滴が終了しましたら、体調、血圧、体温等に問題がなければ、そのままお帰りいただけます。
  • ご自宅で体調等に変化がありましたら、すぐに病院にお知らせください。その際は日中であれば各診療科の外来に、夜間や休日であれば守衛までご連絡ください。

看護師の関わり/薬剤師の関わり

看護師の関わり

がん化学療法は、吐き気や気分不良などの身体症状を伴うことがあります。このような治療の副作用をできるだけ少なくするために、化学療法を専門とした看護師が患者さんの体調をきめ細かく観察し、患者さんを援助します。また、患者さんに病気や治療法をよく理解してもらうために丁寧な説明を行うことも、治療の不安を和らげるためには重要なことだと考えています。

①オリエンテーション

当院では、外来化学療法が決まった患者さん全員に、看護師が外来化学療法室オリエンテーションを行っています。事前に治療室を見学していただき、外来治療の流れや気を付けることについてお話させていただきます。

また、自宅に戻られてから気になることや不安なことについて、ご自宅での生活をお伺いしながら、安心して治療を受けられるように一緒に考えていきます。ご家族の方も一緒にオリエンテーションを受けていただくことができます。

②治療前の問診

外来担当薬剤師が治療を受けられている患者さんに、薬の副作用についての説明や薬の飲み方、投与のスケジュールをその都度説明しています。また薬に関する心配ごとについても丁寧に対応いたします。副作用チェックシートの確認、お薬手帳の確認をし、患者さんが自宅に帰られてからも困らないように指導しています。

実績

①外来化学療法室利用件数

外来化学療法室利用件数

②疾患別件数

疾患別件数

血管外漏出について

抗がん剤 血管外漏出時の対応マニュアル フローチャート

kitokito

公立学校共済組合 中国中央病院 化学療法委員会(薬剤部) 2013.4

血管外漏出時の組織障害性に基づく分類 院内使用薬剤一覧表

ビシカント薬
Vesicant drug
イリタント薬
Irritant drug
ノンビシカント薬
Non vesicant drug
不明
・アブラキサン
・イダマイシン
・エクザール
・オンコビン
・カルセド
・コスメゲン
・サイメリン
・ダウノマイシン
・テラルビシン
・ドキソルビシン
・ドセタキセル(タキソテール)
・ナベルビン
・ノバントロン
・パクリタキセル
・ファルモルビシン
・フィルデシン
・マイトマイシン
・マイロターグ
・ワンタキソテール
・アイエーコール
・アクプラ
・アクラシノン
・アルケラン
・イホマイド
・エルプラット
・エンドキサン
・カルボプラチン
・ジェムザール
・ダカルバジン
・ドキシル
・トポテシン
・トレアキシン
・ハイカムチン
・ブリプラチン
・ベプシド
・ベルケイド
・5-FU
・アービタックス
・アバスチン
・アリムタ
・キロサイド
・サンラビン
・ハーセプチン
・ビダーザ
・フエロン
・ブレオ
・ベクティビックス
・メソトレキセート
・リツキサン
・ロイスタチン
・ロイナーゼ
・トリセノックス
⇒報告なし。
・ブスルフェクス
⇒報告なし。中心静脈からの投与のため分類されないと考えている。文献にて根拠はないがビシカント薬ではないかという報告あり。
・フルダラ
⇒報告なし。
・ミリプラ
⇒報告なし。主成分はシスプラチン。

商品名で表記しています。

参考:医療の質向上のためのチーム医療への薬剤師の関与とその成果に関するエビデンス集(1)がん医療領域(日本病院薬剤師会薬剤業務委員会)、がん化学療法ワークシート第3版(じほう)、現場で使える抗がん剤安全管理クイックブック、腫瘍内科,5:266-269,2010抗癌薬の血管外漏出、トレアキシン適性使用ガイド、Guideline for the management of extravasation of acytotoxic agent or a monoclonal antibody used in the treatment of malignant disease、各薬剤取扱メーカー問い合わせ、各薬剤インタビューフォーム

Vesicant drug (ビシカント) 壊死性抗がん剤
少量の漏出でも、紅斑、発赤、腫脹、水疱、壊死を経て、難治性潰瘍へと進行する可能性がある薬剤。
重度の皮膚障害を起こし、時に著しい疼痛を伴う難治性潰瘍となり、治癒に数ヶ月という時間を要するばかりではなく、変性や機能障害を起こすこともある。

Irritant drug(イリタント)炎症性抗がん剤
一過性の腫脹、発赤、疼痛はあるが、潰瘍形成には至らない局所の炎症を起こす可能性がある薬剤。

Non vesicant drug (ノンビシカント) 非壊死性抗がん剤
多少漏出しても炎症や壊死を生じにくい薬剤。

血管外漏出初期症状 炎症の進行に伴う症状
・疼痛・灼熱感
・腫脹 発赤
・点滴滴下速度低下
・血液の逆流がない
・水疱形成
・硬結
・潰瘍 などの皮膚症状

抗がん剤 血管外漏出予防のポイント

血管外漏出を予防するために 患者指導

1. 適切な点滴部位を選択する。

  • より末梢部位から選択する。(手背や関節部位は­避ける)
  • 太く弾力のある血管を選択する。
  • 24時間以内に穿刺した血管部位より中枢側を選択。(前回穿刺部位からの漏出を予防)
  • 下肢はできるだけ避けること。
  • 漏出が起きても適切に対応ができる部位を選択する。

2. 血管穿刺時は、生理食塩水で血管確保を行なう。

  • 抗がん剤で血管確保を行なうことは避ける。
  • 静脈ポートにヒューバー針を穿刺する時も生理食塩水で開通性を確認する。

3. 留置針穿刺部位は透明ドレッシングで固定し、常に穿刺部位を観察できるようにする。

4. 血管に確実に留置されているか確認する。

  • 点滴ボトル交換ごとに、必ず血液の逆流を確認。
    漏出を早期に発見するためと、どの薬剤が漏出したのかを明確にするため。
  • 静脈注射は2~5ml注入毎に血液逆流を確認

5. 抗がん剤投与後、点滴ルート内を生理食塩水(約50ml)でフラッシュする。

  • 点滴ルート管内に残った薬剤をきれいに注入できることと、留置針抜去時に穿刺部周囲への抗がん剤の漏出が予防できる。

6. 抜針後は止血を確認、留置針穿刺部位の周囲の腫脹・発赤・疼痛の有無を再確認する。

  • 抜針後の止血がうまくできていなかった場合、数日間、腫脹や内出血の症状が出現し「抗がん剤が漏れたのではないか」と患者は不安感を抱くので確実な止血は大事である。
  • 患者がいつでもナースコールを押せるように、手が届く位置にナースコールをセットしておくこと。
  • 抗がん剤が血管外に漏れた時は、痛みや腫脹、発赤を生じること、抗がん剤の種類によっては血管外に少量でも漏れると、強い障害が残る可能性があることを事前に説明する。
  • 留置針穿刺部周囲が「チクチク痛い」、「ヒリヒリする」、「あつい感じ」、「違和感がある」など異常を感じたら、看護師にすぐに知らせるように伝える。
  • トイレなどの移動のたびに、「点滴が漏れていないか」を患者とともに確認する。
  • 服装の注意点で袖口はゆるいデザインのものを着用するように説明する。
  • 自宅に帰ってから数日の間に発赤、腫脹、疼痛の症状が出現した場合は、病院に連絡するように説明する。

〈注意点〉

  • もし、抗がん剤の血管外漏出が発生した場合は、「抗がん剤 血管外漏出時の対応マニュアル フローチャート」を参考に対応する。なお、静脈ポートからの抗がん剤点滴で漏出が発生した場合も薬剤に応じて対処する。
  • 血管外漏出時の組織性に基づく分類 一覧表の「不明」の項目にある薬剤においても、医師に処置方法を確認して対応する。
  • ビシカント薬は輸液ポンプを使用せず自然滴下が望ましい。
  • 薬剤、血管の状態に応じて留置針のゲージ(太さ)を選択する。
  • 抗がん剤の特性を理解し、投与方法や投与時間などを厳守し点滴管理を行なう。

公立学校共済組合 中国中央病院 化学療法委員会(看護部)  2013.5

参考文献

  • 国立がん研究センター内科レジデント編 がん診療レジデントマニュアル 第5版 医学書院 2010
  • 国立がんセンター内科レジデント編 がん診療レジデントマニュアル 第4版 医学書院 2007
  • 国立がんセンター中央病院通院治療センター編 がん外来化学療法マニュアル 南江堂 2009
  • 飯野京子,森文子 編 「安全 確実 安楽ながん化学療法ナーシングマニュアル」 医学書院 2009