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子宮内膜症

中国中央病院からの健康アドバイス 第46

子宮内膜症とは、子宮内腔以外の場所で、子宮内膜組織(月経時に剥離し、出血とともに排出される組織)に似た組織が発生し、疼痛、不妊などをひきおこす疾患です。子宮内膜症は、女性ホルモンのエストロゲンに依存する疾患で、近年、初潮の低年齢化、晩婚化、少子化に伴い増加傾向にあり、20-40歳代女性の約10%にみられるといわれています。

症状

月経を重ねるごとに強くなる月経痛、腰痛、月経時以外の下腹痛、腰部不快感が主体ですが、進行すると直腸、膀胱など周囲臓器と癒着するため排便痛、性交痛などの症状がおこります。また、不妊の大きな原因となる可能性があります。

好発部位による検査、診断

  • 卵巣…一般的に卵巣チョコレート嚢腫といわれ、卵巣が腫大し、嚢腫状となり、内部に、チョコレート色の血液が貯留しているもので、外来での超音波検査にて、診断可能です。
  • 腹膜…腹膜に小さな子宮内膜様組織が多数生着している病変で、不妊の原因となることが多く、診断は困難で、最終的には腹腔鏡検査で確認されます。
  • ダグラス窩(直腸と子宮の間)閉塞…子宮内膜症により、非常に強い癒着が子宮、直腸でおこっている状態で、内診、超音波で診断可能です。
  • ほかに、MRI検査、CA125測定などの検査を必要に応じて加えて、診断します。

治療

〈薬物療法〉

  • GnRHアゴニスト低エストロゲン状態にすることにより治療する方法、最大6ヶ月使用。(4週ごとの注射、毎日の点鼻薬の2種類)
  • 黄体ホルモン(デイナゲスト)子宮内膜症の病巣に直接作用し増殖を抑制する方法(毎日服用)
  • 低容量ピル無排卵による子宮内膜組織の萎縮による治療(毎日内服)
  • ダナゾール(毎日内服)

〈手術療法〉

  • 保存手術(腹腔鏡手術、癒着高度の場合開腹手術)卵巣嚢腫摘出術 癒着剥離術 片側卵巣卵管摘出術
  • 根治手術

子宮全摘出術+両側卵巣卵管摘出術

上記のような薬物療法、手術療法がありますが、子宮内膜症は、エストロゲン依存性疾患のため、閉経まで、再燃を繰り返すことが多く、症状、年齢、挙児希望の有無、また、病変部位による治療法の違いなど、個々の患者様にあった治療を考えていく必要があります。

婦人科部長 山本 昌彦