病院長のご挨拶 平成31年1月
2019年 年頭のご挨拶
病院長
上岡 博(うえおか ひろし)
明けましておめでとうございます。平成31年の年頭に当たり新年のご挨拶を申し上げます。いよいよ今年が平成最後の年になりますが、中国中央病院はこれまでと変わりなく、地域の皆様のお役に立てる病院として頑張っていきたいと考えておりますので、本年もよろしくお願い致します。
昨年は豪雪に始まり、火山の噴火、大地震、猛暑による熱中症の多発、豪雨災害、大型台風の相次ぐ上陸など、自然の猛威にさらされた1年となり、自然の力に比べて人類の非力さを実感させられました。一方、京都大学特別教授の本庶佑氏のノーベル医学生理学賞の受賞は、私達医療に携わる者たちに大きな希望を与えてくれました。本庶先生の研究が、既に私達が臨床でよく投与しているオプジーボという、癌患者さんに希望を与える薬の開発につながり、その結果ノーベル賞という最高の評価を受けたことは私達にとって非常にうれしいニュースでした。癌の克服に向けた研究が今後益々進展することを期待しております。また、昨年は第54回公立学校共済組合中央病院学会を当院が担当し、10月26日に福山ニューキャッスルホテルで開催しました。
さて、昨年中国中央病院は、地域医療支援病院の指定、消化器外科の復活、新しい放射線治療装置の導入など、福山・府中二次医療圏の北部地域における基幹病院としての体制が少しずつ充実してきたと思いますので、今年はさらなる飛躍を目指して努力する所存です。
まず、地域医療構想への対応に関しては、当院は引き続き急性期病院としての役割を果たしていきたいと考えており、地域の診療所の先生からのご依頼は勿論のこと、救急患者・重症患者さんを積極的にお引き受けしたいと思います。救急車の受け入れ件数は過去3年間着実に増加しており、昨年は約1,300件となり、地域の救急医療において一定の貢献が出来ていると思いますが、今年は地域医療支援病院として救急医療をさらに充実させるとともに、地域にお住いの皆様と医療機関のご要望に十分にお応えできる専門的な医療・看護の提供を目指しており、職員一丸となって努力していきたいと考えています。次に、これまでご迷惑をおかけしていた消化器疾患の外科治療に関しては、昨年に2名の消化器外科医が着任し、多くの疾患に対応できるようになりました。勿論当院が得意とする呼吸器外科、乳腺外科を含め、今年も可能な限り地域の皆様のご要望にお応えすべく、7名の外科医が力を合わせて頑張りますので、ご紹介をよろしくお願い致します。また、放射線治療に関しては、新しい放射線治療装置の導入により、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)などこれまで以上に有効性が高く、副作用の少ない最先端の放射線治療が可能となりましたので、地域の皆様に積極的にご利用いただきたいと思います。
これまで当院が得意としてきました、白血病などの造血器腫瘍に対する強力な化学療法と無菌室における造血幹細胞移植などを含むあらゆる血液疾患の診療、肺癌をはじめとする種々の固形癌に対する集学的治療、COPD・間質性肺炎などあらゆる呼吸器疾患に対する専門的な診療、糖尿病・腎疾患・膠原病の診療、消化器疾患に対する内視鏡を用いた診断・治療、周産期医療、整形外科診療などもさらに充実させたいと考えております。
医師確保に関しては、本年も昨年に続き初期研修医を4名フルマッチで採用できることになりましたし、それに加えて、放射線治療体制の充実(放射線治療医の2名への増員、放射線治療専門技師の増員)、眼科の常勤医の着任などを予定しており、基幹病院としての体制がさらに整ってくると期待しております。
また、当院の特徴の一つとして治験、臨床研究が充実していることがあります。特に造血器腫瘍においては、日本成人白血病共同研究グループ(JALSG)や日本細胞移植研究会(JSCT)という全国的な臨床研究のグループの中心メンバーとして活躍しておりますし、グローバルな研究を含め非常に多くの臨床研究、治験に参加しており、造血器腫瘍に対する臨床研究の基幹施設として認められています。さらに、肺癌、胸膜悪性中皮腫、COPD、気管支喘息などの呼吸器疾患においても多数の臨床研究、治験に参加しており、医学の進歩に寄与できていると考えております。
最後に、当院の理念は「患者さん中心の人にやさしい良質の医療の提供」です。色々な職種のスタッフが仲良くチームを組んで患者さんに心のこもった医療・看護を提供し、患者さんとご家族の皆様に「中国中央病院に来て良かった!」と感じていただけるように、本年も全職員が一丸となって邁進する所存ですので、これまでと変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようにお願い申し上げます。
平成31年 元旦