病院長のご挨拶 平成29年1月
2017年 年頭のご挨拶
病院長
上岡 博(うえおか ひろし)
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。平成29年の年頭に当たり新年のご挨拶を申し上げます。
中国中央病院は福山・府中二次医療圏における基幹病院の一つであり、特に北部地域の医療を中心となって支えていくという重大な役割を担っていると考えています。私は昨年4月に着任したばかりの新米病院長ですが、就任時の目標として、病診連携、病病連携の充実を掲げ、病院のスタッフに地域の診療所からの外来診療・入院加療の依頼や救急車の受け入れ要請などに迅速に対応するように命じましたが、全職員が一丸となって努力してくれた結果、かなり成果が得られたと思っています。今年も地域の先生方にさらに信頼していただける病院を目指して、病診連携、病病連携を一層充実させたいと考えていますので、よろしくお願い申し上げます。
また、当院には造血器腫瘍を含む癌、呼吸器疾患、糖尿病・腎疾患、周産期医療などを含め、得意とする診療分野がありますので、本年も専門性をさらに伸ばして、地域の皆様に最先端の医療・看護を提供できる専門病院を目指したいと考えています。病院のスタッフには引き続き最新の知識・技術の修得に努め、地域の先生からのご依頼に最良の対応ができる体制を整えていくように指導してまいります。
さて、日本は高齢化が進み、人口の減少が始まっており、その結果公的病院では外来の受診患者数が減少しております。さらに、昨年は診療報酬の厳しい改定が行われました。当院のような7対1看護体制をとっている急性期病院には、25%以上の医療・看護必要度の維持はかなり厳しいハードルとなりましたが、重症患者の積極的な受け入れ、平均在院日数の短縮などにより、現在はなんとか対応できております。しかし、その根底には、「最近の医療費が高すぎる。」という問題があると思います。近年医療界では、ロボット手術の導入、抗体薬の開発など非常に高額の医療がどんどん取り入れられており、医療費の高騰には全く歯止めがかからない状況です。その結果、財政健全化を目指している政府としては、社会保障費の抑制のため、診療報酬を厳しく抑制せざるをえなかったのだろうと考えます。
医療界のこのような厳しい状況に加えて、当院では慢性的な医師不足が続いており、医師の負担が増加しています。当院は広島県指定のがん診療連携拠点病院として、無菌室における白血病などに対する造血幹細胞移植、肺がん、乳がん、消化器がんなどに対する手術、放射線治療、化学療法などに積極的に取り組んでおり、今年は高精度の放射線治療を可能にするために最新鋭のリニアックを導入する予定にしていますし、グローバルな新薬の臨床治験などにも積極的に参加しております。このように当院は最先端のがん医療を提供するために、各科の専門医が力を合わせて治療に取り組んでおりますが、当院のさらなる発展には、がん医療などに意欲のある若い医師の参加が必要だと考えております。広島県東部地域の医療に興味をお持ちのお医者さん、私達と一緒に頑張ってみませんか。
さて、「和して同せず」は私の座右の銘としてしばしば紹介させて頂いている孔子の言葉です。その意味は人とのなごやかな人間関係は大切だが、何でもかんでもその場かぎりに無責任に賛同するのではないという意味です。「和」というのは、われわれ日本人が最も大切にしている美徳の一つですので、現在のような厳しい時こそ、職員が和気諸々と調和して力を合わせることが必要なことだと考えていますが、より良い医療を提供するためには、「同せず」の精神を持って、職員が率直に意見を述べ合い議論することにより、改善できる点を速やかに改善したうえで、協力することが必要だと思います。私達が出来る仕事はささやかなものではありますが、多くの患者さんが中国中央病院の専門性を理解して、当院を訪れて下さいますので、職員は日頃から精一杯努力することによって自分の仕事に確固たる自信を持ち、職場の仲間との密接な協力のもと、患者さんに「中国中央病院に来て良かった!」と感じていただけるような医療・看護を提供しなくてはならないと考えています。
本年も全職員が一丸となって頑張りますので、皆様には、これまでと変わらぬご支援を賜りますようにお願い申し上げます。
平成29年 元旦