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「口腔がん」を知ろう

口腔がんとは

「口の中にがんができるのか?」とお思いでしょうが、がんは体のいたるところにできるので、口の中にできても不思議ではありません。日本における口腔がんは、がん全体の2~4%を占め、年間6000人以上の患者さんが罹患する病気です。

できる場所によって舌がん、歯肉がん、口唇がんといった病名がつきます。今回は代表的な口腔がんをいくつか挙げて、その特徴を説明します。また口腔がんの進行度、原因と予防についても述べます。

代表的な口腔がん

・舌がん

口腔がんの50%以上を占めます。舌の縁、裏面にできやすく、表面(特に真ん中)にできることは少ないです。粘膜が抉れたり(潰瘍形成)、しこり(硬結)を触ることもあります。大きくなると舌の動きが障害され、食事や会話が不自由になります

・歯肉がん

歯肉が腫れて出血しやすくなります。顎の骨まで拡がると歯がグラグラして、抜け落ちることもあります。初期の症状は歯槽膿漏と似ていますが進行が早いです

・口唇がん

熱の花(口唇ヘルペス)のように見えますが、周囲にしこりを伴います。1週間以上続きます

・頬粘膜がん

粘膜表面が白くなったり赤くなったりします。しこりを触ったり、つっぱり感が強くなり口が開けにくくなります

 

口腔がんの進行度

口腔がんが進むと顎の下や首のリンパ節に転移しやすくなります。特に舌はリンパ組織が多く、早期からリンパ節転移が認められることがあります。リンパ節転移が多くなるほど進行していると考え、予後は悪くなっていきます。

口腔がんの原因と予防

最大のリスクは喫煙です。たばこの煙には有害物質が含まれており、その煙が接する口腔は特に影響が受けやすいです。また同じ理由で度数の強いアルコールの飲酒も原因になります。両者を合わせるとさらにリスクは上がります。他にはHPV(ヒトパピローマウイルス)や放置された虫歯、合わない入れ歯が原因になるのではないかと考えられています。
以上のことを踏まえて口腔がんの予防には禁煙、飲酒の制限、生活習慣の改善、定期的な歯科受診と口腔衛生管理が役立つと考えます

まとめ

口の中は誰にでも観察することができますが、口腔がんを診断するには専門知識が必要です。また現在口腔がんは早期に発見し適切な治療を受ければ、完全に治癒する病気にもなってきました。皆さんで口腔がんの知識を深めていただき、気になるところがあればどうぞ口腔外科を受診してみてください。

歯科口腔外科部長 宇根 秀則