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更年期障害と骨粗鬆症

女性は思春期、分娩産褥期、更年期に精神的・内分泌的に大きく変化します。

特に閉経とともに更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症など様々な病気が起こりやすくなります。更年期をうまく乗り越え、高齢になっても健康で長生きするため日頃から健康管理に注意することが大事です。

更年期障害 ホルモン補充療法や漢方薬が有効です

女性の更年期障害は卵巣ホルモンであるエストロゲンの低下に伴い、閉経前後(45 ~ 55 歳頃)におこりますが、一定の期間を過ぎると治まってきます。のぼせ、うつ症状、頭痛、めまい、全身倦怠感など種々の症状が出現しQOL が低下します。また、内科をはじめ脳外科、耳鼻科領域の病気が潜んでいることがあり注意が必要です。更年期障害の診断は、問診が重要です(図)。治療が必要と判断された場合、ホルモン補充療法や漢方薬が有効です。

ホルモン補充療法

若返りの薬とも言われています。卵胞ホルモン(貼り薬)と黄体ホルモン(内服)が標準的です。効果が比較的早く、更年期障害だけでなく、骨粗鬆症や高脂血症にも有効な場合があります。ただし、症状によっては有効でなかったり、一部の悪性腫瘍の治療後の方では投薬できないことがあります。また、静脈血栓症、心筋梗塞や脳卒中などのリスクがあります。

漢方薬

体質(漢方用語で証と言います)と病状に合わせて使用します。ホルモン補充療法と同等の効果があると報告されています。即効性はありませんが、副作用が少なく長期投与も可能です。ホルモン補充療法が有効でなかった方やリスクのため使用できない方などはお勧めです。

更年期症状で困っている方は、産婦人科を受診してみてください。症状が軽くなり日常生活が楽になると思います。

(図)日本人女性の更年期症状評価表

(図)日本人女性の更年期症状評価表

 

 

骨粗鬆症 65 歳以上の女性は骨密度測定をしましょう

女性の骨量は、30 歳代がピークで閉経後に急速に低下し、65 歳以上の女性の約3 割が骨粗鬆症と言われています(男性の約3 倍)。進行すると背骨が曲がったり、痛みがでたり、骨折して寝たきりになることがあります。骨粗鬆症は、骨密度測定によって診断され、早期発見、早期治療により骨折予防になります。

日頃から適切な運動やバランスの良い食事(特にカルシウムの摂取)を心がけましょう。それでも効果がない場合は、骨密度改善薬(ラロキシフェン、ビスフォスフォネート製剤、活性型ビタミンD3 製剤など)を使用します。

骨粗鬆症は症状に乏しく、骨密度を測定しなければ発見が遅れます。検査は簡単で、産婦人科や整形外科で行っています。高齢化の時代に健康で長生きするため、骨を定期的に検査することは重要です。65 歳以上の女性は自覚症状がなくても骨密度測定をお勧めします。

産科部長  徳毛 敬三